『イライラ』『モヤモヤ』その感情、身体の声が隠れていませんか? マインドフルネスで心と体の声に耳を澄ませるヒント
日常で感じる『イライラ』や『モヤモヤ』 その感情、身体からのサインかもしれません
毎日、家族のために、仕事のために、一生懸命がんばっていらっしゃる皆様、こんにちは。
「なんだか気分が晴れない」「ちょっとしたことでイライラする」「漠然と将来が不安」…日常生活の中で、このように感情が揺れ動くことは誰にでもあります。忙しい日々の中で、自分の感情をじっくり見つめる時間も、自分の身体の調子に意識を向ける時間も、つい後回しになりがちかもしれません。
でも、もしその「イライラ」や「モヤモヤ」といった感情が、実はあなたの身体からの大切なメッセージだとしたら?
心と身体は密接につながっています。感情は心だけのものと思われがちですが、実は身体の様々な反応と深く結びついています。この身体からのサインに気づくことが、自分自身の心と身体を理解し、より穏やかに毎日を過ごすための第一歩となります。
今回は、日常生活で感じる感情、特に「イライラ」や「モヤモヤ」といった感覚が、どのように身体とつながっているのか、そして「身体の声を聞く」ためのマインドフルネスがどのように役立つのかをご紹介します。
「身体の声を聞く」とはどういうこと?
「身体の声を聞く」と聞くと、少し特別なことのように感じるかもしれません。しかし、それは何も難しいことではありません。
「身体の声」とは、例えば「お腹が空いた」「疲れた」「眠たい」といった分かりやすい感覚だけを指すのではありません。それは、
- 肩のハリや重さ
- 胃のあたりがぎゅっとなる感じ
- 呼吸が浅くなっていること
- 心臓がドキドキすること
- 手のひらに汗をかくこと
- なんとなく落ち着かないそわそわ感
- 特定の場所がひんやりする、あるいは熱っぽい感じ
など、あなたが今、この瞬間に身体で感じている、ありとあらゆる感覚のことです。
これらの身体の感覚は、しばしば私たちの感情や心の状態を映し出しています。忙しさの中でこれらの小さなサインを見落としてしまうと、いつの間にか不調が積み重なってしまうことがあります。
感情と身体はなぜつながっているの?科学的な視点から
「イライラ」したり「モヤモヤ」したりする時に、身体にも変化が起きていることに気づいたことはありますか? 例えば、歯を食いしばっていたり、肩に力が入っていたり、胃の調子が悪くなったり…。
これは、感情と身体が神経系やホルモンを通して強く結びついているからです。私たちが強い感情(喜びだけでなく、怒りや不安なども)を感じると、自律神経系が反応し、心拍数や血圧が変化したり、筋肉が緊張したり、消化器系の働きが変わったりといった、様々な生理的な反応が起こります。
脳科学の視点からも、感情は脳の特定の部位(扁桃体など)で処理され、それが身体の反応を引き起こすことが分かっています。つまり、「イライラ」や「モヤモヤ」といった感情は、単に頭の中で考えていることだけでなく、あなたの身体そのものが感じ、反応している状態でもあるのです。
これらの身体のサインは、あなたがストレスを感じている、休息が必要である、といった大切な情報を伝えてくれているのです。
なぜ「身体の声」に気づくことが大切なの?
忙しい毎日の中で、私たちはつい「あれをしなきゃ」「こうあるべき」と頭の中で考えることに意識を向けがちです。しかし、身体の声に耳を澄ませることで、以下のような良い変化が期待できます。
- 感情に振り回されにくくなる: 「イライラ」や「モヤモヤ」を感じた時に、「あ、今、肩が凝っているな」「胃が少し痛いな」といった身体の感覚に気づくことで、感情を少し客観的に捉えられるようになります。「私は今、イライラしている」という感情そのものと、それに伴う「身体の反応」を切り離して観察できるようになるのです。
- 自分の状態をより深く理解できる: 身体の感覚は、言葉にならないあなたの状態を教えてくれます。身体が発する小さなサインに気づくことで、「もしかしたら、疲れているのかも」「知らず知らずのうちにストレスを抱えていたのかも」と、自分自身の心身の状態をより正確に把握できるようになります。
- 早めにセルフケアができる: 身体のサインに気づけば、「ちょっと休憩しよう」「好きな香りの入浴剤を使ってみよう」「温かい飲み物を飲もう」といった、自分を労わる行動を早めに取ることができます。大きな不調になる前に、小さなケアで心身を整えることができるのです。
- 衝動的な行動を防ぐ: 強い感情に突き動かされて、後で後悔するような行動を取ってしまった経験はありませんか? 感情に伴う身体の反応に気づくことで、行動を起こす前に一瞬立ち止まり、冷静さを取り戻すきっかけが得られます。
マインドフルネスが「身体の声を聞く」助けになる理由
マインドフルネスとは、「今、この瞬間」の体験に、評価や判断を加えず、意図的に注意を向ける心の状態や練習のことです。
このマインドフルネスの実践は、「身体の声を聞く」スキルを養う上で非常に効果的です。なぜなら、マインドフルネス瞑想やその考え方は、私たちの意識を過去の後悔や未来への不安から、「今、ここ」の身体感覚や呼吸、感情といった体験に穏やかに向け直すことを助けてくれるからです。
「イライラ」や「モヤモヤ」を感じた時に、すぐにその感情の原因を探ったり、どうにかしようとしたりするのではなく、「今、自分の身体はどんな感じがしているかな?」と注意を向ける練習をすることで、感情に巻き込まれることなく、自分自身の状態を観察できるようになります。
今日からできる!感情と身体の声に気づく簡単なマインドフルネス実践
特別な場所や時間を用意する必要はありません。日常生活の中で、気軽に試せる簡単な実践方法をご紹介します。
1. 呼吸に意識を向ける(1分からでも)
忙しいと感じる時、呼吸が浅くなっていませんか? 短時間でも良いので、呼吸に意識を向けてみましょう。
- 椅子に座るか、立っている状態で、軽く目を閉じます(難しければ開けたままでも良いです)。
- ご自身の自然な呼吸に注意を向けます。呼吸をコントロールしようとせず、ただ観察します。
- 息を吸うときにお腹や胸がどのように動くか、息を吐くときの感覚はどうか、といった身体の感覚に意識を向けます。
- 他の考えが浮かんできても、それは自然なこととして受け止め、優しく注意を再び呼吸に戻します。
この練習は、感情に圧倒されそうな時にも、意識を身体に戻し、落ち着きを取り戻す助けになります。
2. ボディスキャン(簡易版) - 体の感覚を感じる
ご自身の身体が今、どんな状態にあるかを感じ取る練習です。
- リラックスできる姿勢で座るか横になります。
- 足のつま先から始めて、順番に体の各部分に意識を移していきます。足、ふくらはぎ、太もも、お腹、背中、腕、手、肩、首、顔、頭…というように。
- それぞれの部分で、どのような感覚があるか(温かい、冷たい、重い、軽い、ピリピリする、何も感じない、など)を、良い・悪いという判断をせず、ただ観察します。
- 特に「イライラ」や「モヤモヤ」を感じる時は、その感情が身体のどの部分に現れているように感じるか(胃がぎゅっとなる、肩が張る、顔が熱くなるなど)を注意深く感じてみましょう。
この練習は、日頃気づかない身体の緊張やサインに気づくきっかけとなります。
3. 日常の動きに意識を向ける
特定の時間を作るのが難しい場合は、普段の家事や通勤中などに意識を向けてみましょう。
- お皿を洗う時に、水の温かさや洗剤の泡の感覚、お皿の触感に意識を向ける。
- 歯磨きをする時に、歯ブラシの感触や歯磨き粉の味、口の中の感覚に注意を向ける。
- 歩いている時に、足が地面につく感覚や、風が肌に触れる感覚を感じる。
これらの簡単な実践を日常生活に取り入れることで、忙しさの中でも「今、ここ」の身体の感覚に気づく習慣を養うことができます。
実践することで期待できる変化
これらの実践を続けることで、すぐに大きな変化が感じられないかもしれません。しかし、少しずつでも意識を向ける練習を続けることで、以下のような変化が期待できます。
- 「イライラ」や「モヤモヤ」といった感情が湧いてきたときに、その感情にただ巻き込まれるのではなく、「あ、今、私はイライラしているんだな」と一歩引いて気づけるようになる。
- 感情に伴う身体のサインに気づきやすくなり、「もしかしたら、疲れているサインかな?」と、自分の心身の状態をより正確に把握できるようになる。
- 自分自身の声(心と身体の声)に耳を傾ける時間を持つことで、忙しい中でも自分を大切にしているという感覚を持てるようになる。
- 結果として、ストレスを溜め込みにくくなったり、自分に優しくなれたりする可能性があります。
完璧を目指す必要はありません。まずは、今日から少しでも、ご自身の身体の声に耳を澄ませる時間を設けてみませんか?
まとめ
日常生活で感じる「イライラ」や「モヤモヤ」といった感情は、決してあなただけのものではなく、そして身体からの大切なサインである可能性があります。
心と身体のつながりを理解し、マインドフルネスの実践を通して身体の声に耳を澄ませることは、忙しい毎日の中でも自分自身の状態に気づき、セルフケアを行うための有効な方法です。
今回ご紹介した簡単な実践を、ぜひ日々の生活に取り入れてみてください。ご自身の身体という一番身近な存在に意識を向けることから、心穏やかな毎日への一歩が始まります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。